(15)ピックアップとプリアンプ

06/24/2023

この記事は以前のブログから転載しています。


さて今日はアコースティックギターのプリアンプのお話です。と言っても僕が使っている機材の紹介なので何かの参考になれば幸いです。ところでここ2年程はピックアップを使ったライン出力を使わずにエアーのマイク(普通のマイク)だけで拾っていました。それは僕の持論の、ギターの音は弦の鳴りだけじゃなく、全体の鳴りや、フレットノイズ、そしてストロークの擦過音などなどがブレンドしたものだ、ということからです。もちろんピックアップシステムやプリアンプなどなどを駆使すればよりリアルに近づけることはできますが、基本ソロで弾き語りが多い僕にはそこまでの必要性を感じないというわけです。

以前のギンイロヒコーキでのAcoustic Bonbonでのライブでも全員全くマイクを使わずに完全アコースティックで演奏しました。これはお店の事情で大きな音が出せないということもありますが、音響機材を外したらアンサンブルはどうなるのか?という先祖返り的な実験でもありました。

PAシステムの中でモニタースピーカーをメインに演奏環境を作ると、無意識なのですが「自分」が主役になっていきます。自分があって周りがあるみたいな感じでしょうか。しかし完全アコースティックだと、他がないと自分の居場所が成立しないというアンサンブルの面白さが浮きあがってきます。以前オペラの専門家と音響機材の話をしていたら「最近のオペラではPAシステムを使うのが一般的になってきたが、なぜかモニタースピーカーを使った方が出演者の声が大きくなる」と言っていました。この辺はとても面白いポイントだと思います。

しかしデッドなライブハウスや大きな会場でエアーのマイクしか使わないのは今ではPAエンジニア泣かせです(昔はそうだったけど・・・)。というわけで最近では意固地にならないで、必要に合わせてエアーのマイクとライン出力をミックスしようという気持ちになってきました(大人になったということか)。

それでは僕がギターやウクレレのピックアップには何を使っているかを紹介します。

メインのギターTOMPSON T-1ショートスケールにはフィッシュマンのピエゾとフィッシュマンのプリアンプのシステムです。このプリアンプはジャックのところについているので外からではわかりませんしとても軽量で良いと思います。また音の好き嫌いがあるとは思いますが、フィッシュマンのピエゾは頑丈でこれまでトラブルが全くなかったというところも使っている理由のひとつです。

ウクレレはmpsというマグネット固定式のコンタクトピックアップで、ボディーの内側のマグネットと外側のマグネット付きピックアップの磁力によって固定されます(手前の少し小さな円盤が内側での固定用マグネット)。

mpsは電源を使わないパッシブタイプですが出力が大きく、音もナチュラルなので気に入っています。なんといっても手軽に自分でセッティングできるのが強みです。取り付ける場所でかなり音の違いが出てくるので、位置決めは重要です。ひとつ心配なのは携帯その他の磁気データに影響しないかということです。正直これにはそれなりに気を使ってしまいます。

現在はマッキンタイヤーのピックアップを仕込みました。詳細はこちらのブログです

そして16日のライブで使う予定のもうひとつの新人ギター『National Style-O』があるのですが、こちらはSlimlineというピックアップが元々付いています(写真はロゴの部分)。

このピックアップはマグネットタイプ(エレクトリックギターなどと同じ)で電源を必要としないパッシブタイプです。マグネットタイプは最近ではかなり主流になってきているようですね。このSlimlineもなかなか良い音がします。

さてmpsとSlimlineはプリアンプとのセットではありませんので、こちらはプリアンプにつなぎます。これは10年近く前にアメリカに出かけた時に購入してきたものです。

パンフレットにジェイムス・テイラーが使っている、と書かれていたので、即!間に受けて買ってきたというわけです(笑)。で肝心の音はというととても良いと思います。アコースティック楽器には良いマッチングです。ダイレクトボックスとして使えますし、プリアンプとしての機能をいくつも備えています。僕にとってなんといっても嬉しいのが2系統のギターがインプットできて、それぞれのバランスを取れるというミキサー機能です。2本の楽器を使う人間にはとても助かる機能です。

アメリカで買ってきたので電源アダプターが120V仕様なのですが、今になって100V仕様に変えようと思い自作(というほどのものではないか)しました。出力側が15Vのセンタープラスなのでなかなかないのです(左がセンターマイナスをプラスに自作したアダプター)。

TOMPSONの方は既にプリアンを通過した信号がアウトプットされているので、シンプルなパッシブタイプのダイレクトボックスオンリーです(あとはPAにお任せ)。

 

これはお世話になっているギタリストのE・Kさんからいただきました。どうやらE・Kさんのお弟子さんの手作りらしいです。このダイレクトボックスは軽量なので旅に持ち出すのも苦になりませんし音もナチュラル。

というわけで今回は僕のダイレクトボックス、プリアンプ事情でした。

ところで最初の写真のプラグですが、抜き差しフリーというか抜き差しするときに「バン!」というノイズが発生しないプラグです。これもかなり重宝しています。

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★2019年5月現在は、アコギとウクレレ の二本持ちが多く、PZ-PREにそれぞれをつないでバランスをとって使っています。PZ-PREは今では欠かせない機材となっています。


ギター

Posted by buchi